2022.05.06
【サポカー限定免許とは?】5月から運転技能検査の義務化も
2022.05.06
【サポカー限定免許とは?】5月から運転技能検査の義務化も
2022年5月より改正道路交通法が施行され、70歳以上のセーフティ・サポートカー運転者を想定したサポートカー限定免許が創設されます。また、75歳以上の違反歴のあるドライバーには免許更新時の運転技能検査が義務付けられます。今回は、セーフティ・サポートカーならびにサポートカー限定免許の特徴や、運転技能検査の内容などをご紹介します。
サポカー限定免許について知っておこう
「セーフティ・サポートカー(サポカー)」とは?
経済産業省「サポカーの区分について」をもとに作成
経済産業省「サポカー(安全運転サポート車)のWEBサイト」によると、サポカーとは衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全技術でドライバーの安全運転を支援してくれる車のこと。図表のように、搭載されている機能に応じて、全運転者へ推奨される「サポカー」と、特に70歳以上の運転者へ推奨される「サポカーS」があります。
「サポカーS」にはさらに、衝突被害軽減ブレーキの機能に応じて、「ベーシック」、「ベーシック+」、「ワイド」の3つの区分があります。
「サポートカー限定免許」とは?
「サポートカー限定免許」(以下「サポカー限定免許」)は、2022年5月13日に創設される「運転することができる自動車の範囲をサポカーに限定する」条件が付いた運転免許制度です。年齢などの制限はなく、普通免許から運転者本人の申請によって移行できますが、解除するには限定解除審査が必要です。70歳以上で運転に不安があるものの、免許返納までは踏み切れないといった運転者の利用を想定しています。
※免許証には「普通車はサポートカーに限る」などのように記載される見通し
「限定免許」では運転できないサポカーもある
サポカー限定免許で運転できる自動車は、サポカーの区分にかかわらず「2020年度以降の製造で国土交通省から自動ブレーキとペダル踏み間違い時の加速抑制装置の両方の性能認定を受けた車」、もしくは「2021年11月から国産自動車に義務付けられた保安基準を満たす衝突被害軽減ブレーキを搭載した車」となっています。衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)が後付けされた車などは対象となりません。対象となる車種のリストは、警察庁のWEBサイトで公開される予定となっています。
運転技能検査について知っておこう
免許更新の際に75歳以上で、一定の違反歴がある運転者に義務付けられる
・運転技能検査の対象となる違反行為11種類
信号無視 | 通行区分違反 | 通行帯違反等 | 速度超過 | 横断等禁止違反 | 踏切不停止等・遮断踏切立入り |
交差点右左折方法違反等 | 交差点安全進行義務違反等 | 横断歩行者等妨害等 | 安全運転義務違反 | 携帯電話使用等 |
75歳以上の運転免許更新手続きでは、従来から認知機能検査と高齢者講習が実施されてきましたが、2022年5月から、図表の11種類の違反歴がある普通免許保有者はこれに加えてまず「運転技能検査」を受けることが義務付けられます。携帯電話の使用など、一見軽微に感じられる違反行為まで含まれているのに驚いた方もいるのではないでしょうか。
運転技能検査ではどんな検査が行われる?
運転技能検査では、運転免許試験場または自動車教習所のコース内を普通自動車で走行し、図表のような各種課題を実施します。100点満点からの減点方式で、第1種免許は70点以上、第2種免許は80点以上を合格とします。不合格となれば再受検もできますが、更新期間満了までに合格できない場合、免許は更新できません。
70歳以上のドライバーに免許返納以外の安全な選択肢を
サポカー限定免許や運転技能検査といった制度は、70歳以上であっても日常生活で車を運転せざるを得ないといったドライバーに、より安全に運転してもらうための施策とも言えます。
運転者自身は「わざわざ免許の条件を限定するなんて」、「多少違反してしまうことはあるかもしれないが、運転技能に問題はない」などと考えることもあるかもしれませんが、こうした制度によって、日ごろの運転に向き合う心がけが変わってくることもあるものです。また、家族などから70歳以上の運転者にサポカー購入や限定免許を勧めたり、運転技能検査について知らせたりする場合も「まだまだ自分はしっかりしている」と考えがちな本人の気持ちを汲んで、伝え方に気を配りたいところです。
参考:
経済産業省「サポカー(安全運転サポート車)のWEBサイト」
警察庁「改正道路交通法(高齢運転者対策・第二種免許等の受験資格の見直し)の施行に向けた調査研究報告書について」